介護保険の福祉用具とは、介護が必要な高齢者の日常生活を助けるため、または身体の機能訓練のための用具のことです。物品によりレンタル(貸与)や購入することができます。
自立した生活を送るための福祉用具を借りる(福祉用具貸与)
13種類の用具が貸し出しの対象となります。
要介護度に応じて、利用できない品目もあります。
※月々の利用限度額の範囲内で、実際にかかった費用の1~3割を自己負担します。
適正な価格で、福祉用具を利用しましょう
2018年度の介護報酬改定に伴い、下記のような取り決めが行われました。
●貸与価格の上限価格の設定がされています。
商品ごとに貸与価格の全国平均が公表されており、その平均価格をもとに貸与価格の上限が設定されています。
※上限を超えた場合は、保険給付対象外(全額自己負担)となります。
●事業者には、機能や価格帯の異なる複数商品の掲示などをおこなうことが義務付けられています。
貸与する商品の機能や価格帯の異なる複数商品を選択肢として示す。
トイレ、入浴関連の福祉用具を買う(特定福祉用具購入)
要介護1~5、要支援1・2の方が対象となり、申請が必要です。
福祉用具購入の限度額は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間で、合計10万円までです。介護保険を利用することにより65歳以上の方は1割、または一定以上の所得のある場合は2割、特に所得の高い場合は3割となります。40歳から64歳までの方は1割となります。
購入費支給の対象は、次の6種類です。
- 腰掛便座(便座の底上げ部材を含む)
- 自動排せつ処理装置の交換部分
- 排せつ予測支援機器
- 入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴用介助ベルト等)
- 簡易浴槽
- 移動用リフトのつり具の部分
※指定を受けていない事業者から購入した場合は、支給の対象になりませんので、ご注意ください。
より安全な生活が送れるように住宅を改修する(居宅介護住宅改修)
住宅改修の第一の目的は、日常生活動作(ADL)が自分で行えるようになることであり、利用者本人の自立意欲の向上です。第二に家族や介護者の精神的、物的負担を軽減することにあります。また住宅改修を通じて利用者の生活領域(生活圏)を拡大することもテーマとなっています。
生活環境を整えるための住宅改修に対し、20万円を上限として費用の7~9割が住宅改修費として支給されます。
介護保険の対象となる工事の例
住宅改修のサービスを受けるには、要介護認定(要介護1~5、要支援1・2)を受けていることが前提となります。
工事の前に保険給付の対象となるかどうかを、ケアマネジャーか市町村の窓口に相談しましょう。
- 手すりの取り付け
- 段差や傾斜の解消
- 滑りにくい床材・移動しやすい床材への変更
- 開き戸から引き戸への扉の取り換え、扉の撤去
- 和式から洋式への便器の取り換え
- その他これらの各工事に付帯して必要な工事
※屋外部分の改修工事も給付の対象となる場合があります。
福祉用具貸与と福祉用具販売の違い
福祉用具はレンタルするものと購入するものがあります。特定福祉用具販売は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、指定を受けた事業者が、入浴や排せつに用いる福祉用具を販売することです。
これらの福祉用具は「特定福祉用具」と呼ばれており、貸与になじまない性質のもの(他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が伴うもの、使用によってもとの形態・品質が変化し、再利用できないもの)として、介護保険を利用して購入することが可能となります。
利用者はこれらの福祉用具を利用することで、日常生活上の便宜を図り、家族の介護負担軽減などを図ります。